この「味覚歳時記」は、「ないすらいふ古代史と美術の会」で親しくさせていただいた山田順一さんの著作です。
山田さんは、私とは同年齢の方ですが「癌」でお亡くなりになられました。
私が益子で作成した「南天の皿」を差し上げ、自分が作る「男の料理」を盛るための陶芸だと説明したところ、ご勤務先の機関誌に掲載されていた「味覚歳時記」をくだされ、“西澤さんの「男の料理レシピ」と組み合わせると面白いですね”とおっしゃってくださいました。
このたび、ブログ作成ができるようになり「男の料理レシピ」を投稿するにあたり、奥様のご了解をいただいて宿願を果たせるようになりました。
しかし、「味覚歳時記」の格調があまりにも高いため「男の料理レシピ」との組み合わせが難しく、先ずは「味覚歳時記」が“先行”してもらいます。
とってつけたように、「男の料理レシピ」を添付させます。
天国で、山田さんが苦笑なさっておられることでしょう。
「味覚歳時記」
《一つ鍋》
寒風吹き荒ぶ冬籠りの日々には、「鍋料理」で暖かい湯気に安らぎを見出すところです。
煮るということは、調理の基本動作ですから、会食者の調理への参加意識が、一座に共感と賑わいをつくり出すものです。
尤も、調理士の側からは、本質的に、下地やタレの調製が味の差の全てとなり、工夫をこらすところです。
例えば、関東では、スキヤキ(牛鍋)のタレとして、醤油に味醂や清酒、砂糖等を加えて煮立てたのに出し汁を合わせた、お蕎麦屋さんのいう本返しの手法による「割り下地」を用いますが、これに牛乳を添加すると、牛肉の脂とは異種の乳脂肪分が出会い、また、乳蛋白質も醤油アミノ酸とは味の共鳴効果があるらしく、格段に美味しさが増します。
是非、お試しを。
「鍋」といえば、今ではもう普く世に知られた大阪の名物、うどんのチリ鍋、通称「うどんスキ」は、要するに、大がかりな煮込みうどんの類であります。
昆布だしの利いた薄口醤油仕立てのつゆを、たっぷりと使った旨味が身上です。
鍋は、鉄製では、汁が濁るので、土鍋かステンレス製を用います。
通常、煮込みの具には、鶏肉や白身の魚、蛤、焼き穴子、雁擬き、生麩、生湯葉、生椎茸、蒲鉾、三つ葉、それに茹でた白菜、人参、ほうれん草、小松菜、若布、莢豌豆等々、また、座興に生きた車海老を添えたりします。
要は、煮込みうどんですから、煮続けてもとろけない腰の強いうどんが必要です。
市販品では間に合いにくいので、自分で手打ちをやるのが一番です。
強いうどんは、通常パン小麦粉(強力粉)と薄力粉を半量ずつ位まぜ合わせて、塩水でよくこね、太めに打ち上げるのですが、うまくいかない場合は、卵白を入れるとよいかと思います。
茹で卵子の白身が、お湯に溶けない原理の応用ですから、これで大丈夫です。
この冬は、「うどんすき」をどうぞ。
「男の料理レシピ」
《相撲部屋風 うどんすきちゃんこ》
(材料)5人分
うどん 5人前
鳥もも肉 800グラム
鱈 切身2~3枚
豆腐 2丁
白菜 5枚
長葱 1本
椎茸 5枚
ニラ 1束
えのき茸 少々
薄口醤油 適量
(作り方)
① 大きめの鍋で湯をわかし、かつお節をたっぷり入れて、沸騰させる。
② かつお節は湯が十分に沸騰したら、穴あきのおたまで全部取り除く。
③ 薄口醤油を適当に入れる。(好みで量を加減)
④ 塩、酒を少々入れると味が濃くなる。
⑤ 鳥のもも肉は細かく(うずらの卵位の大きさ)に切る。
⑥ 具の野菜は好みの大きさに切る。
⑦ 鱈は一切れを三つ位に切る。
⑧ 味のついた鍋の中に具を入れて煮る。
煮上がったら出来上がりだが、うどんは後から入れた方が良い。
《作成後の感想》
「味覚歳時記」は、いただいた直後、読ましていただきその造詣の深さに感嘆いたしましたが、今、このようなかたち抜粋させていただくと“並みの方”ではなかったなと早世されたことが惜しまれてなりません。
改めて、ご冥福を祈る次第です。

0 件のコメント:
コメントを投稿